肺気腫・間質性肺炎
肺気腫・間質性肺炎

COPD(シーオーピーディー:慢性閉塞性肺疾患)は、主に喫煙が原因で肺に慢性的な炎症が起こり、気流の通りが悪くなる病気の総称です。その中でも肺胞が壊れてしまうタイプを「肺気腫」と呼びます。空気の通り道である気管支が細くなり、息を吐き出しにくくなるため、息切れや慢性的な咳、痰が続くのが特徴です。
日本では40歳以上の約8%がCOPDといわれていますが、多くが未診断とされており、「年のせい」や「ただの風邪」と思い込んでしまい、発見が遅れることが少なくありません。喫煙歴があり息切れや咳が続く場合は、早めにご相談ください。呼吸機能検査やレントゲン、CT検査などを行うことで迅速に診断することが可能です。早期発見・治療によって症状の進行を抑え、生活の質を保つことが可能です。
最大の原因は喫煙です。タバコの煙に含まれる有害物質が長年にわたり肺に炎症を起こし、肺胞の壁を壊して弾力を失わせ、気道の構造を変えてしまいます。特に20年以上の喫煙歴や1日20本以上吸う習慣がある方では発症リスクが大幅に高くなります。また、受動喫煙によっても発症リスクは上昇します。
その他の原因としては、大気汚染、粉じんや化学物質への職業的曝露、乳幼児期の重い呼吸器感染症、遺伝的要因(α1-アンチトリプシン欠損症など)が挙げられます。
症状はゆっくり進行し、初期は軽い咳や痰だけのこともあります。次第に階段を上ったり、早歩きしたりすると息切れを感じるようになり、朝方には痰がからむ慢性的な咳が目立ってきます。ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴が聞こえることもあり、酸素不足による倦怠感で疲れやすくなることもあります。さらに進行すると体重が減少したり、呼吸困難で日常生活に支障が出るようになります。
治療の基本は「進行を遅らせ、生活の質を保つ」ことです。単に症状を和らげるだけでなく、将来の呼吸困難を防ぎ、できるだけ長く活動的に生活できるようにすることが目標です。
禁煙
最も重要な治療です。禁煙することで進行を大幅に遅らせることができます。
吸入薬
(気管支拡張薬)
気管支を広げ、呼吸を楽にします。長時間作用型β2刺激薬や抗コリン薬が使われます。
吸入ステロイド薬
基本的には推奨はされておりませんが、肺気腫の中には喘息のような病態を合併していることもあります。その場合は炎症を抑え、急性増悪(急な悪化)を減らすことが可能です。
ワクチン接種
インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンで感染症の重症化を防ぎます。
呼吸リハビリテーション
呼吸法の訓練(口すぼめ呼吸や腹式呼吸など)、下肢筋力トレーニング、軽い有酸素運動、栄養指導などを行い、呼吸の効率を高め体力維持を図ります。リハビリを続けることで息切れが軽くなり、日常生活動作が楽になります。また入院率の低下も期待できます。
酸素療法
進行して酸素が不足している場合に、自宅で酸素吸入(在宅酸素療法)を行います。携帯用酸素ボンベや酸素濃縮装置を使用し、外出時にも酸素補給ができるようにすることで、活動範囲を広げ生活の質を維持します。酸素濃度や使用時間は医師が定期的に調整します。
間質性肺炎は、肺の間質という組織に炎症や線維化が生じる病気の総称で、急性に進行するタイプから慢性的に少しずつ悪化していくタイプまでさまざまです。間質は肺胞と気道を支える組織であるため、この部分が障害されると肺全体の機能に影響を及ぼします。
特発性肺線維症
(IPF)
最も多く、慢性進行性で線維化が強く予後が悪い。
非特異的間質性肺炎
(NSIP)
比較的ステロイドが効きやすく、膠原病に伴うことも多い。
器質化肺炎
(COP)
何らかの炎症によって起こること多く比較的ステロイドが効きやすい。
その他
急性間質性肺炎(AIP)、剥離性間質性肺炎(DIP)など
関節リウマチ、全身性強皮症、多発筋炎・皮膚筋炎、シェーグレン症候群などで起こることがあります。これらは自己免疫反応により肺の間質が障害されて発症します。
過敏性肺炎
カビや鳥の羽や糞などを吸い込むことで起こる免疫性炎症
じん肺
粉塵や薬品を吸い込むことで慢性的に線維化していく病気
抗がん剤や免疫チェックポイント阻害剤などで起こることがあります。
放射線治療後やウイルス感染後に一過性に起こることがあります。
症状は、息切れや乾いた咳が代表的で、進行すると安静時でも呼吸困難を感じるようになります。その他、倦怠感、発熱、体重減少なども現れることがあります。病状が進むと、肺が硬くなるため酸素を取り込みにくくなり、在宅酸素療法が必要になるケースもあります。
胸部CT検査
間質性肺炎の種類によっては特徴的な所見があります。
肺機能検査
スパイロメーターで肺の機能低下の種類を特定します。
血液検査
KL-6、SP-D、SP-AなどのマーカーやLDHが上昇します。
原因やタイプによって異なります。
これらの治療以外にも禁煙・感染予防(インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種)・呼吸リハビリテーションといった日常的な管理を併用することも重要です。
