血液内科について

血液内科は、血液中の白血球・赤血球・血小板などの血液細胞の異常に加えて、その血液細胞を作っている骨髄の疾患やリンパ節腫大をきたす疾患などを専門に治療する診療科です。日常的によくみられる貧血や血小板減少といった病気から、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫といった血液腫瘍まで多岐にわたります。
血液の病気は自覚症状に乏しく、健康診断などで初めて異常がみつかるものも少なくありません。血液検査での異常や出血傾向（血が止まりにくい、出血しやすい）がある場合はもちろん、長びく発熱やリンパ節腫脹、骨痛なども血液疾患が疑われることがありますので、お気軽にご相談ください。

血液内科でよくみられる症状

• 貧血による息切れ
• 血小板減少や血液凝固系異常などによる出血傾向（血が止まりにくい、ささいなケガで出血する）
• 白血球異常に伴う発熱
• 皮膚の紫斑（紫紅色あるいは暗紫褐色の斑で、皮膚内の出血で起こる）
• 血液検査値異常（赤血球・白血球・血小板数の増加や減少）
• 頸部（くび）やそけい部（大腿部の付け根にある溝の内側部分）のリンパ節が徐々に大きくなる

日常的に起こりやすい症状でも、詳細な検査を行うことで重大な病気の早期発見につながることもよくあります。これらの症状に心当たりがある場合や気になることがございましたら、何でもお気軽にご相談ください。

血液内科の主な病気

血液腫瘍

• 白血病
• 悪性リンパ腫
• 多発性骨髄腫
• 骨髄異形成症候群
• 骨髄増殖性腫瘍（真性多血症、本態性血小板血症、骨髄線維症）など

貧血性疾患

• 鉄欠乏性貧血
• 巨赤芽球性貧血
• 再生不良性貧血
• 溶血性貧血など

出血性・血栓性疾患

• 血友病
• 特発性血小板減少性紫斑病
• 原発性抗リン脂質抗体症候群
• 後天性凝固因子欠乏症など

貧血

血液悪性疾患

白血病

悪性リンパ腫

多発性骨髄腫

血小板減少症（特発性血小板減少性紫斑病）

血液中を流れる血小板が免疫異常によって減少し、出血しやすくなる病気です。通常は細菌やウイルスなどを攻撃する働きをしている抗体が、血小板に結合することで血小板が血液中から速やかに除去され、その数が減少してしまうことで発症します。出血が唯一の症状といえます。急性型と慢性型に分類され、急性型はかぜをきっかけに小児に発症することが多く、その9割が自然に軽快します。一方、成人は、血小板数の減少が半年以上続く慢性型が多く発症しています。健康診断などで血小板減少を指摘されたり、紫斑などが出現した場合は早めにご相談ください。

骨髄異形症候群

造血幹細胞の異常によって起こる病気です。具体的には、造血幹細胞が成熟した血球に順調に成長できなくなり、結果として白血球減少、貧血、血小板減少が起こります。程度によっては白血病と類似の病態に移行します。その発症のメカニズムはまだ特定できておらず、いろいろな原因が重なり合って起こると考えられています。症状の出方には個人差があり、また病気の初期には無症状の方も少なくありません。多くの場合、無症状期に健康診断や他の病気の検査中に偶然発見されます。血球減少を指摘された際はご相談ください。

真性赤血球増加症・本態性血小板血症

造血幹細胞に異常が起こり、必要がないのにもかかわらず、血球などがどんどんと産生される病気を骨髄増殖性腫瘍といいます。骨髄増殖性腫瘍の中にあり、主に赤血球が増える病気が真性赤血球増加症で、主に血小板が増える病気が本態性血小板血症です。これらは無症状であり、健康診断などで偶然、検査異常値として発見されることが多いといえます。血球増加を指摘された際はご相談ください。

血友病

通常、軽度の出血であれば自然に止まります。これは血液中の血小板と複数のたんぱく質（凝固因子）が相互に働いて血液を固めるからです。血友病は、この凝固因子が何らかの原因で低下することで血が固まりにくくなり出血しやすくなる病気です。血友病には遺伝子異常によって生まれつき凝固因子が作られずに不足する先天性血友病と自己抗体が凝固因子を攻撃して不足させる後天性血友病の大きく2つのタイプが存在します。先天性では早い場合には乳幼児期から出血症状が出現することもあります。後天性では特に誘因なく広範囲の皮下出血（あざ）が出現したり、筋肉が腫れて痛みが生じる筋肉内出血を認めることがあります。筋肉内出血は肉眼では判断しにくくCT検査やMRI検査などで評価することが多いです。このような症状がある場合は早めにご相談ください。